
「世界平和は一家団欒のあとに5 追いかけてマイダーリン」レビュー。レーベル:電撃文庫 作者:橋本和也
<あらすじ>
「実家に帰らせていただきます」
異世界よりやってきた元お姫様にして、星弓一家の母・志乃が夫の度重なる浮気疑惑についにキレた。
そんな簡単に帰れるのかよ……? という一同をおいて家を出る志乃。父・耕作とともに、軋人たちは志乃を連れ戻そうとするが、一方で彼女に近づく不穏な影があり―。海辺を舞台に志乃争奪戦の幕が上がる!?
軋人の祖父にして耕作の父、大三郎も初登場! 家族と世界の平和を天秤にかける物語、第五弾です。
<感想>
神。4巻発売から待っていた甲斐があったというもの。
とにかく凄いとしかいいようがなく、タイトルをまさに中身で体現している傑作。コメディーパートからシリアスパートまで網羅しつつ、ラノベでは短めの200ページ強でうまく纏めきっていて、正直文句の付け所がない傑作。
とにかく余分なところが全くない作品。読んでいればどういう方向に展開するかは誰でもわかるにも関わらず、読んでいて全く飽きさせないのはさすがですね。
だいたいラノベを読んでいると、途中でだれてあとがきを先に読みたくなるのですが、今作では全くそんなことなく、最後まで一気に読み切ることができました。管理人にとっては、50冊読んで一冊あるかどうかのことであって、ここまでの作品とは予想もしていませんでした。
また、前巻の時点ではまだまだ発展途上だった回想シーンの使い方も上手になっていたり、キャラのさらに言い回しがうまくなるなど語彙も増えていて(特に主人公のセリフなど。結構「涼宮ハルヒの憂鬱」のキョンに近い感じ、まぁあそこまで皮肉っぽいセリフではないんだけど、面白い言い回しが目立ってきた)、作者自身、そして作品自身の成長も見て取れました。
前巻ではテーマが家族愛にはなってなかったことで、ファンの間からは一部不満もあったようですが、今回は直球勝負。3巻でもそうでしたが、やはりこの家族の中での愛をはぐぐむストーリーの方が面白いですね(個人的には前巻も好きですが)。
ただ、なんといっても今作最大の魅力は「重ね合わせ」かな。
作中でキャラクターの心理描写と行動に全くぶれがなく、2つの間に全く矛盾が感じられません。また、後半では回想シーンと現在のシーンをうまく掛け合わせることで読者に「おおっ! 」と思わせる描写も多くて、戦闘シーンでも彼らの心情が文章を通じて伝わってくるので読み応えも十分。よくこれほどの作品を作り上げられるもんですね。
電撃は他のレーベルと比べてやや対象年齢が高いこともあるせいか(詳しくはこちらを参照)やや文体が重い作品が多いですが(「狼と香辛料」、最近の作品で言うと「DRAGONBUSTER」などがそれにあたる)、「世界平和は一家団欒のあとに」は管理人にとって一番しっくりくる文章で書き上げられています。作品のテーマ自体は重いものですが、軽いタッチで描かれた文体、キャラクター達の魅力、そしてわかりやすい展開でうまくテーマの重さを相殺していて、見事なハーモニーを奏でています。素晴らし。
主人公が戦闘であまり活躍できないのはいつも通りですが、熱いセリフでストーリーを盛り上げるなど、見所は十二分。傑作中の傑作。
<感想>
A+評価。次巻が待ちきれません。読んだことない人はぜひ一巻から読んでほしいと思います。
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